与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)代表は16日、記者会見を開き、党代表を辞任することを発表しました。
韓代表は会見で、「これ以上、党代表としての職務を正常に遂行することが不可能になった」と述べ、「苦痛を受けたすべての国民に心から謝罪する」と述べました。
韓代表は、自身が尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する弾劾に賛成したことについて、「支持者を思うとつらいが、後悔はない。国民を裏切らないと誓ったからだ」と語りました。
韓代表はまた、「不正選挙を主張する極端なユーチューバーたちが商業的に作り出す恐怖に影響されるようでは、保守の未来はない」と述べました。これは、尹大統領が国民向け談話の中で、ことし4月の総選挙に関して不正選挙を示唆し、戒厳令を正当化する発言をしたことを念頭に置いたものとみられます。
韓代表は、尹大統領と同じく検事出身で、尹政権初代の法務部長官を務めました。その後、ことし4月の総選挙では代表が不在の中、非常対策委員長として党を率いましたが、野党に大敗。その責任を取って非常対策委員長を退任しました。しかし、その後7月に開催された全党大会で、大きな支持を得て党代表に選出されました。
韓代表は、かつて尹大統領に近い人物とされていましたが、大統領夫人をめぐる疑惑などをきっかけに、尹大統領との関係が悪化したとされています。
尹大統領の弾劾訴追案をめぐり、与党内では反対する意見が多数を占めていましたが、韓代表は弾劾案への賛成を明言し、これが弾劾案可決につながったとして党内から厳しい批判を受けていました。弾劾案可決後には、党執行部の最高委員5人全員が辞意を表明するなど、党指導部は事実上崩壊し、韓代表も最終的に辞任を余儀なくされました。
韓代表の辞任に伴い、与党「国民の力」は、尹政権発足後、5回目となる非常対策委員会体制へと移行する見通しです。