国会は27日午後3時に本会議を開き、韓悳洙(ハン・ドクス)国務総理に対する弾劾訴追案の採決を行います。
当初、最大野党「共に民主党」は、憲法裁判官の任命を待つとして、韓国務総理に対する弾劾の期限として27日を提示していましたが、韓国務総理が26日に国民向けの談話を発表し、事実上任命を拒否したことを受け、弾劾の手続きを開始しました。
大統領権限代行に対する弾劾訴追案が本会議に上程され、採決が行われるのは、憲法史上初めてです。
未曽有の大統領権限代行に対する弾劾訴追案の採決が行われていますが、議決の定足数を判断する国会議長は、いまだ立場を明らかにしていません。
現在のところ、与党「国民の力」は、大統領権限代行は、大統領の弾劾訴追に準ずるべきとの立場を示し、200人以上の賛成を、最大野党「共に民主党」は、大統領ではなく、国務総理を対象に行われるだけに、過半数の151人以上の賛成で可決できるとの立場を示しています。
野党「共に民主党」は、弾劾の理由として、大統領権限代行として憲法裁判官の任命を拒否したことや、常設特別検察官の推薦を行わなかったことを主張しています。
また、国務総理としては、「非常戒厳」の宣言を黙認し、ほう助したことや、「非常戒厳」宣言後、与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)前代表と権力を行使しようとしたことなどを弾劾の理由にあげています。
与野党の対立もエスカレートしています。
野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は、27日に発表した声明で、韓国務総理を内乱の残党だと非難し、内乱を鎮圧することだけが、国家の安定と国民生活の回復につながると主張しました。
また、為替市場で急激なウォン安が進んでいることについても、戒厳令の宣言と韓国務総理による憲法裁判官の任命拒否がその原因だとして、弾劾の妥当性を強調しました。
一方、与党「国民の力」の代表代行を務める権性東(クォン・ソンドン)院内代表は、韓国務総理に対する弾劾要求により、為替市場や物価、国際社会の信用などに悪影響が及んでいるとして、野党が、無理やり弾劾を進めているのは、次期大統領選挙を前倒しすることで、次期大統領候補とされる李代表の裁判に蓋をすることを狙っているためだと強く非難しました。
弾劾訴追案が可決された場合、韓国務総理は職務停止となり、崔相穆(チェ・サンモク)経済副総理兼企画財政相が大統領代行と国務総理を兼任することになりますが、この場合、組織内で大きな混乱が生じるものとみられます。
崔経済副総理が大統領代行を兼任することになったら、韓国務総理の弾劾訴追につながった憲法裁判官の任命とともに、年末が期限となる金建希(キム・ゴニ)夫人に対する特別検察法案を公布するかどうかを決めなければなりません。