韓国南西部・全羅南道の務安(ムアン)国際空港で発生した済州(チェジュ)航空の旅客機事故では、滑走路に建てられた構造物が被害を大きくしたと指摘されていて、遺族らは、空港や構造物の設置に責任がある国土交通部が事故の調査を行っていることについて、「信頼できない」と批判し、中立性が確保された別の調査機関を設置するよう求めました。
旅客機事故の遺族代表団は4日、務安国際空港で開かれた記者会見で、「この事故に責任があるという疑惑を受けている国土交通部が、自ら事故の調査にあたっているため、調査を信頼できない」と述べました。
そのうえで、「中立性が確保できる独立した調査機関を別に設置するか、国土交通部の関係者らを調査から排除するべきだ」と述べ、遺族や市民社会の専門家が調査に加わる必要があると主張しました。
務安空港では去年12月29日、バンコク発済州航空の旅客機が空港へ着陸する直前に鳥と衝突し、遭難信号を出した後、車輪が出ないまま胴体着陸して滑走路に建てられていたコンクリート製構造物や壁にぶつかって炎上しました。この事故で、乗客乗員181人のうち、179人が亡くなりました。
今回の事故では、「バードストライク」によるエンジンなどの故障が原因とされており、さらに、胴体着陸した飛行機が滑走路に建てられている硬いコンクリート製構造物に衝突し、炎上したことから、この構造物も被害を大きくしたと指摘されています。
国土交通部は、務安が「渡り鳥の中継地」となっているため、バードストライクの可能性が予想されていたにも関わらず、空港の建設を許可したり、旅客機が衝突して炎上する原因となった硬いコンクリート製構造物の設置を許可しています。
空港設計指針では、「空港敷地内にあるすべての障害物とみなされる設置物は、壊れやすい材質にしなければならない」と規定しています。
そのため、遺族らは、務安空港やその中の構造物の設置や管理を担当してきた国土交通部はむしろ調査を受ける対象であると主張しています。
この事故の真相究明にあたっている国土交通部傘下の事故調査委員会は、国土交通部の航空政策室長が常任委員を務めているほか、半分以上が国土交通部所属です。
一方、当局によりますと、消防と警察が7日間にわたり事故現場の捜索を行い、旅客機の尾翼やエンジンなどの引き揚げ作業を完了し、現場の捜索作業を5日に終了したということです。
また、亡くなった179人の遺体を回収したということで、遺体は6日中に遺族に引き渡すということです。