韓国南西部・全羅南道の務安(ムアン)国際空港で発生した済州(チェジュ)航空の旅客機事故について、政府は事故原因の一つとされる鳥の衝突、「バードストライク」が実際に発生していたことを公式に確認しました。
国土交通部によりますと、事故現場から回収されたエンジンを調査した結果、鳥の羽毛が確認され、少なくとも片方のエンジンでバードストライクが発生していたことが分かりました。ただし、両方のエンジンで同時に発生していたかどうかについては、さらに詳しい調査が必要だとしています。
また、アメリカに送られたフライトレコーダー=飛行記録装置については、データの取り出しにおよそ3日かかるとしていますが、音声記録装置や監視カメラの映像と照合する作業には数か月を要するという見通しを示しました。
一方、被害を拡大させた原因と指摘されている、飛行機の着陸を補助する誘導装置「ローカライザー」について、国土交通部は国内外の関連規定を検討した結果、法的に問題はないとの立場を改めて示しました。国土交通部は、FAA=アメリカ連邦航空局の規定を引用し、壊れやすい材質で設備を設置しなければならないとされる滑走路の末端までの安全区域にはローカライザーは含まれないとする見解を示しています。
しかし、規定違反がなかったとしても、安全対策が不十分だった点については認め、今後必要な改善策を講じる方針を明らかにしました。
これに対して専門家からは、ICAO=国際民間航空機関や国土交通部の告示では、ローカライザーも滑走路の末端までの安全区域に含まれると明記されており、FAAの規定はあくまで参考にすぎないとの指摘が出ています。
また、事故の真相究明を進めている国土交通部傘下の事故調査委員会について、メンバーが前職や現職の国土交通部の官僚を中心に構成されていることから、公平性への懸念が指摘されています。この批判を受け、委員長が辞任の意向を示し、常任委員を務める航空政策室長も調査業務から外れることが決まりました。
一方、朴相佑(パク・サンウ)国土交通部長官は、自らの責任について「適切に対応する」と述べ、事故収束後に辞任する意向を明らかにしました。