尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が宣言した「非常戒厳」をめぐって憲法裁判所で行われている弾劾審判について、尹大統領の弁護団は、14日に予定されている初回の弁論に尹大統領が出席しないと明らかにしました。
弁護団の尹甲根(ユン・ガプクン)弁護士は12日、「捜査当局が不法な方法で拘束令状を執行しようとしており、大統領の身辺の安全が懸念される」と主張。そのうえで、「安全と警護の問題が解決されれば、いつでも出席する意志がある」と述べました。
尹大統領は先月3日に「非常戒厳」を宣言し、先月14日に国会で弾劾訴追されました。現在、憲法裁判所は弾劾の妥当性を審理し、大統領を罷免するかどうかを判断する手続きを進めており、今回の弁論もその手続きのひとつにあたります。
一方、内乱容疑などで発付された尹大統領の拘束令状は、大統領警護処の妨害によって執行されておらず、尹大統領側は「弁論に出席すれば逮捕される可能性がある」として、弁論期日の変更を検討しているとしています。
憲法裁判所の弁論期日は、14日の初弁論を含め、来月4日までの間に合計5回が指定されています。関連法では大統領本人の出席が求められていますが、出席しない場合でも次回以降の弁論は当事者不在のまま進めることができると定められています。
尹大統領側はこれまで弁論へ出席する意志を繰り返し強調してきましたが、安全上の理由を挙げて出席しないことにした今回の対応については、「裁判を遅延させる戦略ではないか」との批判も上がっています。
14日の初弁論は当事者不在で行われる見通しで、16日に予定されている2回目の弁論以降、本格的な審理が進むとみられます。