韓国の捜査当局は、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する拘束令状の執行に向け、大統領公邸の警備を担当する大統領警護処などに協力を求める公文書を送りました。早ければ今週中にも令状が執行される見通しです。
高位公職者犯罪捜査処や警察などからなる合同捜査本部は今月3日、内乱を首謀した疑いで尹大統領に対する拘束令状を執行しようとしましたが、大統領警護処の妨害により失敗しました。その後、7日に2回目の拘束令状が発付され、再び執行が試みられる見込みです。
こうしたなか、高位公職者犯罪捜査処は13日、大統領公邸の警備を担当する大統領警護処や国防部に令状執行への協力を求める公文書を12日に送ったと明らかにしました。
高位公職者犯罪捜査処は、「令状執行に協力しない場合、民事・刑事上の責任を問う」と警告するとともに、「(大統領室からの)違法な命令に従わないことは職務放棄ではない」と警護処職員を説得しています。警護処内部で動揺が見られるとの報道もあり、捜査当局は圧力と説得を併用して対応を進めています。
一方、尹大統領が、警護処幹部に対し、2回目の令状執行時には武力使用を検討するよう指示したとの報道や、小銃が入ったとみられるリュックを背負った警護処職員が目撃されたとの報道が相次ぎ、物理的衝突への懸念が高まっています。
これに対し、尹大統領側は「フェイクニュースだ」と、これらの報道を全面的に否定しています。
こうしたなか、大統領警護処は、公邸前にバスを並べた壁や鉄条網を設置するなど、令状執行に備えた警備を強化しています。高位公職者犯罪捜査処は、令状執行の際、けが人が発生したり、鉄条網など障害物の撤去に費用が発生する場合は、大統領警護処に対して損害賠償を請求するなど法的措置を取ることについても検討しています。