尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による「非常戒厳」の宣言を巡って、尹大統領を罷免するかどうかを決める弾劾審判の2回目の弁論が16日、憲法裁判所で開かれました。
尹大統領は当初、弾劾審判に出席する意向を明らかにしていましたが、今月15日に捜査機関に拘束され、弁論を欠席しました。
弾劾を求める野党議員らで構成する国会側は、今回の「『非常戒厳』が憲法違反にあたる」として弾劾の正当性を強調した一方、尹大統領側の弁護団は、「『非常戒厳』の宣言は、大統領の正当な統治行為だった」と反論しました。
国会側は、「非常戒厳」がその内容と手続きにおいていずれも憲法と法律に違反するものであり、国民の安全を大きく脅かしたとして、尹大統領の罷免を求めました。また、尹大統領が大統領職に復帰した場合、再び「非常戒厳」を宣言する可能性が疑われる言動を続けていると主張しました。
一方、尹大統領側の弁護団は、「民主主義の根幹を立て直すためのやむを得ない選択だった」としたうえで、「『非常戒厳』は平和的に行われた」と強調しました。
また、「非常戒厳」を宣言した背景には「不正選挙」と「国家の非常事態」という経緯があり、野党勢力が政権を奪い取ることをもくろみ、弾劾訴追を行ったと主張しました。
尹大統領側は、去年4月、野党が圧勝した選挙を「不正選挙」だったとして、国会で過半数を占める野党について、国政の独裁を続ける「反国家勢力」だと非難し、「巨大野党の一連の行為は国家非常事態と判断した」と主張しています。
憲法裁判所は、「非常戒厳」を宣言した際、軍の部隊を国会に投入した当時の状況や不正選挙をめぐる真偽を確かめるため、国会の監視カメラ映像と中央選挙管理委員会の資料を証拠として採択しました。
これに先立ち、尹大統領側は、高位公職者犯罪捜査処の取り調べを理由に、2回目の弁論を延期するよう求めましたが、憲法裁判所は「変更の理由に当たらない」と判断し、予定通り裁判が行われました。