「非常戒厳」の宣言をめぐり、内乱を首謀した疑いで拘束された尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、拘束当日を除いて捜査機関の取り調べに応じていません。これを受けて、取り調べを担っている高位公職者犯罪捜査処は、尹大統領を連行して取り調べを行おうと試みましたが、失敗に終わりました。
高位公職者犯罪捜査処は、20日午後3時ごろ、尹大統領が収監されているソウル拘置所に検察官と捜査官を送り、尹大統領を連行して取り調べを行おうとしましたが、およそ6時間にわたって対立した結果、人権保護の規定に基づき、午後9時に撤収しました。
法務部が定める「人権保護捜査準則」によりますと、午後9時から午前6時までの被疑者に対する捜査は禁じられています。
尹大統領は、拘束された15日、初の取り調べで黙秘権を行使したあと、4回の取り調べはいずれも拒んでいます。
捜査当局の関係者は、今後も連行して取り調べを行う方針だとしていますが、尹大統領がこれに応じるかは不透明なままです。
一方、尹大統領は20日夜、憲法裁判所で21日に開かれる、弾劾審判の弁論には出席すると、大統領側の弁護団を通じて明らかにしました。
尹大統領が出席すれば、弾劾訴追された大統領が憲法裁判所に出席する、初の事例となります。
内乱容疑で19日に逮捕された尹大統領は21日午後、ソウル近郊の拘置所から裁判所に移動して弁論に出席するとみられます。
尹大統領は弁論で、「非常戒厳」宣言の背景や経緯について説明し、戒厳令の正当性を主張するものと予想されています。
憲法裁判所は、尹大統領の罷免の可否について、3月中にも結論を出すのではないかという見方が出ています。
尹大統領が罷免された場合、60日以内に大統領選挙が行われます。