非常戒厳を宣言して弾劾訴追されている尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、弾劾が妥当かどうかを判断する憲法裁判所の裁判に出席しました。現職の大統領が、憲法裁判所に自ら出席したのは初めてです。
内乱を首謀した容疑で19日に逮捕された尹大統領は、弾劾裁判に出席するため、21日午後、ソウル近郊の拘置所から憲法裁判所に大統領警護処の警護を受けながら移動しました。
尹大統領は拘置所では、カーキ色の収容者用の服を着ていたものとみられますが、法廷にはスーツ姿で登場しました。
検察出身で法律専門家の尹大統領は弁論で自ら発言し、非常戒厳の布告令について「実際執行する意図はなく、戒厳の形式をそろえるためのものだった」として、弾劾訴追の理由にはならないと否定しました。
戒厳の布告令では、野党を反国家勢力と位置づけ、国会と地方議会、政党による一切の政治活動を禁じる内容などが盛り込まれています。
また、主な政治家などを逮捕し、拘禁しようとした疑いについても、全面的に否定しました。
憲法裁判所による裁判は今回が3回目で、今後、来月13日まであわせて8回の裁判が行われる予定です。
憲法裁判所は、国政の空白を最小限に抑えるため、尹大統領に対する罷免の可否について、3月中にも結論を出すものとみられています。
尹大統領が罷免された場合、60日以内に大統領選挙が行われます。