尹錫悦(ユン・ソンニョル)が宣言した「非常戒厳」をめぐり、内乱などの罪で起訴された金龍顕(キム・ヨンヒョン)前国防部長官が、政治活動などを禁じる布告令を作成したノート型パソコンと携帯電話を破壊していたことがわかりました。
検察によりますと、金氏は取り調べに対し、布告令を作成したノート型パソコンを破壊するよう側近に指示したという趣旨の供述を行ったということです。
また、パソコンを破壊した大統領室の行政官は検察の取り調べに対し、金氏の指示を受け、ハンマ―でパソコンや携帯電話を壊したと供述したということです。
携帯電話を壊した理由について、金氏は、「戒厳をはじめとする任務をやり遂げたため」と供述したということです。
これより前に、金氏は、「尹大統領の指示で布告令を作成した」としたうえで、「尹大統領が法典を検討し、与えられた指針をもとに作成した」という趣旨の供述を行いましたが、尹大統領が具体的にどのような指示をしたかについては供述しませんでした。
これについて、尹大統領は、21日に憲法裁判所で開かれた弾劾審判の3回目の弁論に初めて出席し、国会の活動を禁じる内容が盛り込まれた布告令について、「実際に執行する意図はなく、戒厳の形式をそろえるためのものだった」としたうえで、金氏が草案を作成したと主張しました。
金氏も、自身が布告令を作成したと主張していますが、第三者が作成した可能性も提起されています。
金氏の側近とされる軍の関係者は、取り調べに対し、金氏は普段、パソコンで文書を作成しなかったため、第三者が布告令を作成した可能性があると供述しました。
一方、憲法裁判所は23日午後、尹大統領の弾劾審判の4回目の弁論に金氏を初の証人として呼ぶ予定です。拘置所に収容されている金氏は、メディアに対し、弁論に出席する意向を明らかにしています。