北韓は25日、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の立ち会いのもとで、戦略巡航ミサイルの発射実験を行ったと発表しました。アメリカのトランプ大統領就任後、初のミサイル発射実験です。
朝鮮中央通信が26日午前、明らかにしたところによりますと、発射された戦略巡航ミサイルは、およそ2時間21分の間、楕円や8の字の軌道を描いて、合わせて1500キロを飛行し、標的に命中したということです。
今回発射された戦略巡航ミサイルは、北韓が去年、発射した「プルファサル(火矢)3-31」と型式は似ていますが、今回は発射角度が垂直に変わっていました。
ミサイルとは別のガス発生器で生成されたガスの圧力で射出し、空中でミサイルに点火する「コールドローンチ」技術が使われ、潜水艦からの発射を想定した実験だとみられます。
発射実験に立ち会った金委員長は、「戦争抑止の手段がすべて整った」と評価したということです。
韓国とアメリカは、今月に入って、両国の空軍による合同訓練や北韓の多連装ロケット砲などの長射程砲に対応するために訓練を行いましたが、北韓は合同訓練が行われるたびに反発してきました。
北韓外務省は、今回の発射実験と同時に談話を発表し、アメリカに対し「わが国の主権を拒否する以上、超強硬な対応が最善だ」と明らかにしました。
ただ、最近、北韓に歩み寄るようなメッセージを発しているトランプ大統領には言及しませんでした。
また、トランプ大統領就任後、初のミサイル発射が弾道ミサイルではなく、国連安全保障理事会の制裁対象ではない戦略巡航ミサイルだった点も注目されています。
韓国統一研究院は、今回の発射実験をめぐって、「トランプ政権の発足直後であるため、アメリカを刺激しすぎずに、同時に自国の戦略的抑止力を誇示するためのものだろう」と分析しています。
一方、韓国軍は、今回の発射実験の兆候を事前に把握していたとして、「いかなる挑発にも対応できる」と強調しました。