尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による「非常戒厳」宣言をめぐり、検察が尹大統領を内乱罪で起訴し、弾劾審判と刑事裁判が並行して進む見通しとなりました。弾劾審判の結果は、刑事裁判にも影響を与える可能性があり、尹大統領側が憲法裁判所に対し、刑事裁判が終わるまで弾劾審判を停止するよう求める可能性が指摘されています。
憲法裁判所法第51条では、弾劾審判と同じ理由で刑事訴訟が進行中の場合、審判手続きを停止できると定められています。今回、尹大統領は内乱容疑で弾劾訴追と起訴を受けており、この規定に該当します。
弾劾審判が刑事裁判の判決より先に出た場合、大統領の在職中に適用される不訴追特権がなくなり、内乱容疑に加えて職権乱用などの容疑が追加される可能性もあります。
ただ、憲法裁判所が審判の停止要請を受け入れる可能性は低いとの見方もあります。憲法裁判所は、「第51条の趣旨は、被請求人の権利を保障することではなく、刑事裁判で得た事実を審判の判断に活用することが目的」と説明しており、審判を停止するかどうかは裁判所の裁量に委ねられるとしています。
さらに、憲法裁判官8人のうち2人の任期が4月18日に終了することから、それまでに最終判断を示す可能性が高いと見られています。