内乱を首謀した罪で起訴された尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、自身の罷免の是非を判断する弾劾審判の5回目の弁論で、非常戒厳を宣言した際に中央選挙管理委員会に軍が投入したのは、自身の指示によるものだったとしたうえで、不正選挙を理由に挙げました。
尹大統領は4日、憲法裁判所で開かれた弾劾審判の5回目の弁論に出席し、「選挙管理委員会に軍を送れと言ったのは、私が金龍顕(キム・ヨンヒョン)前国防部長官に話したことだ」と明らかにしました。
今回の弾劾審判の争点の一つは、国会と選挙管理委員会への軍の投入で、尹大統領が選挙管理委員会への軍の投入を直接指示したとする内容に初めて言及しました。
尹大統領は、「検察にいたころから選挙に関する事件や訴訟について報告を受け、投票箱から常識では考えられない投票用紙が出てきたため、選挙をめぐる不正について問題意識をもっていた」と説明しました。
こうした内容は、尹大統領が選挙管理委員会への軍の投入を指示したとする検察の捜査結果と一致します。
ただ、尹大統領は、「犯罪捜査の概念ではなく、国家情報院が確認できなかった選挙管理委員会の電算システムがどのようなもので、どのように稼働するのかを、選挙管理委員会に入って点検するよう指示したため、戒厳軍が入ったと私は承知している」と述べ、現場にどの軍の兵力が投入されたかについては把握していなかったと説明しました。
また、 尹大統領は、「合同捜査本部や戒厳司令部が設置される前に、国会で戒厳の解除要求決議案が可決したことを受け、軍を撤収させた」としたうえで、「何も起こらなかった」と繰り返し強調しました。
尹大統領による説明は、非常戒厳が内乱罪に当たる暴動には発展しなかったほか、一部問題行為があったならば、その責任は軍の司令官にあるとする趣旨の発言とみられます。
尹大統領はまた、金前長官に戒厳について言及したのは、去年11月29日か30日ごろだと明らかにしました。