検察が、故・全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領に対する追徴金の未納分を回収するため、妻の李順子(イ・スンジャ)氏らを相手取って進めていた住宅の所有権移転が認められませんでした。
ソウル西部地方裁判所は7日、政府が李氏や元秘書官で、長男の全宰国(チョン・ジェグク)氏を含む、合わせて11人に対し訴えていた所有権移転登記訴訟を却下しました。
この訴訟は、検察が2021年10月、ソウル市延禧洞(ヨニドン)にある住宅は、全元大統領が他人の名義を借りて取得した財産だとして訴えていたものです。
全元大統領は、訴訟を訴えられた1か月後に死去しました。
裁判所は、「全氏の死去により、判決に基づく追徴金債権は消滅した。刑事事件の判決に伴う債務は、原則として相続の対象とはならない」との判断を示しました。
全元大統領は1997年、内乱や収賄などの罪で最高裁にあたる大法院から無期懲役と追徴金2205億ウォンの支払いを命じられましたが、そのうち867億ウォンは未回収のままとなっています。
一方、大法院も2022年、延禧洞の住宅の別館に対する差し押さえをめぐる訴訟で、「被告人が死亡した場合、特別な規定がない限、追徴金の執行はできない」との判断を示していました。