中国を訪れている禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長は7日、ハルビンで習近平国家主席と面会しました。この中で、習主席は今年韓国南東部・慶州(キョンジュ)で開催されるAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議に合わせた韓国訪問の可能性を示唆しました。
習主席が韓国の高官と会うのは、去年12月に尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が「非常戒厳」を宣言して以来、初めてです。また、韓国の国会議長が習主席と面会するのは、2014年の鄭義和(チョン・イファ)議長以来、11年ぶりとなります。
この中で、禹議長は韓中関係の発展への支援に感謝を表し、「韓国は必ず危機を克服する」と強調しました。これに対し、習主席は「韓中関係の安定的な維持を希望する」と述べるとともに、尹大統領による「非常戒厳」宣言やその後の弾劾審判などで韓国の政局が混乱していることについて、「韓国の内政問題」だとし、「韓国人には解決できる知恵と能力があると信じている」と述べました。
また、禹議長は、韓国の文化・エンターテインメント産業に対する制限の解除を要請しました。これは、2016年にアメリカの高高度迎撃ミサイルシステム「THAAD(サード)」が韓国に配備されたことを受け、中国が2017年から報復措置として韓流文化の流入を制限する「限韓令」を実施していることに関するものです。
しかし、習主席は「文化交流の重要性を認めるが、問題の発生を防がなければならない」と述べ、慎重な姿勢を示しました。
さらに、禹議長が今年慶州で開催されるAPEC首脳会議への出席と韓国訪問を要請したのに対し、習主席は「APEC首脳会議には中国の国家主席が出席するのが慣例」とし、「出席を真剣に検討している」と応じました。
禹議長は、中国共産党序列3位の趙楽際全国人民代表大会常務委員長の招きで5日から4泊5日の日程で中国を訪問しています。7日には冬季アジア競技大会の開幕式に出席するため、ハルビンを訪れました。
一方で、アメリカでは、トランプ大統領の再登場による「アメリカ第一主義」の加速が懸念される中、中国は周辺国との関係改善を模索しているとみられます。韓中関係には前向きな動きがみられるものの、米中間の貿易摩擦の激化が今後の関係に影響を与える可能性が指摘されています。