大統領の権限を代行する崔相穆(チェ・サンモク)副総理兼企画財政部長官が、国会が憲法裁判官候補として推薦した馬恩赫(マ・ウンヒョク)ソウル西部地裁部長判事を任命しなかったことについて、憲法裁判所は、憲法に反する違法行為だという判断を下しました。
禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長が国会を代表して請求した審判で、国会は、与野党が推薦した憲法裁判官候補3人のうち、与党と野党がそれぞれ推薦した2人だけを任命し、野党が推薦した残る1人の任命を見送ったのは、国会の憲法裁判所構成権と裁判官選出権を侵害するものだとして今月3日、権限争議審判を請求していました。
権限争議審判は、国家機関の間で権限の有無やその範囲を巡り争いが生じた場合に憲法裁判所が判断を下すものです。
憲法裁判所は、崔氏は大統領の権限を代行したときから、国会が推薦した候補を裁判官に任命し、憲法裁判官の空席の状態を解消する義務があったと判断し、裁判官に任命しなかったのは国会の権限を侵害する違法行為だと、裁判官全員一致で下しました。
しかし、国会の馬氏がすでに憲法裁判官の地位にあるということを確認する請求や、崔氏が馬氏をただちに任命しなければならないという請求は、憲法裁判所が決定を下す法律的な根拠がないため全員一致で却下しました。
今後、馬氏の任命が行われる場合、憲法裁判官は本来の9人体制が整うとみられます。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領をめぐる弾劾裁判が終わる前に馬氏の任命が行われれば、弾劾裁判の弁論が再開されるなど、判決の言い渡しが遅れる可能性があります。