観光客の大幅な増加によって地域住民の生活に支障をきたす「オーバーツーリズム」の解決に向け、ソウル市の行政区の一つ鍾路(チョンノ)区は、伝統家屋「韓屋(ハノク)」が密集している「北村(プクチョン)」を対象に、観光時間の制限を設ける方針です。
「北村」は、ソウルの北側にある「韓屋村」で、朝鮮王朝時代から王族や両班(ヤンバン)と呼ばれた当時の貴族、官僚などが住んでいた高級家屋が集まっていて、国内外の観光客が多く訪れています。
しかし、オーバーツーリズムによる問題を解消するため、ソウル市鍾路区は3月1日から「北村」の特別管理区域のうち、観光客が最も多い北村路11ギルで観光時間の制限を設け、これに違反する場合、過料を科す方針です。
今回の方針に基づき、3万4千㎡に及ぶ北村路11ギルの区域には、午前10時から午後5時までは訪れることが可能で、その他の時間帯に観光目的で訪問すると10万ウォンの過料が科されます。
ただし、住民やその家族、友人、観光制限区域内の店の人、その客、宿泊客など、「観光行為」をしていない人は取り締まりの対象外となります。
鍾路区は、「観光行為」を写真・動画を撮る行為や周りを見て回る行為、店舗の利用とは関係なく観光を目的に歩き回る行為などと規定しました。
また、鍾路区は、「『北村』の住民がより安心して日常生活を送り、鍾路区と「北村」を訪れる観光客が決まった時間内で秩序正しい観光文化を実践することを期待する」としたうえで、「観光時間の制限が地域の商店に及ぼす影響も十分理解しているため、今後、さらなる対応を検討する」としています。