アメリカのトランプ大統領が施政方針演説で「韓国はアメリカに対して4倍高い関税を課している」と話したことで、韓国もカナダやメキシコ並みの高い関税が課されるのではないかと懸念されるなか、申源湜(シン・ウォンシク)国家安保室長が、アメリカの大統領補佐官との会談などのためアメリカを訪れました。
申室長は現地時間の5日午前、現地入りし、国家安全保障担当のウォルツ大統領補佐官などトランプ政権の高官らと会談します。
トランプ政権発足以降、閣僚級の高官がアメリカ側のカウンターパートと会談するのは、先月、趙兌烈(チョ・テヨル)外交部長官がルビオ国務長官と、安徳根(アン・ドクグン)産業通商資源部長官がラトニック商務長官と会談したのに続いてこれで3人目となります。
申室長は、韓半島と北東アジアの安全保障や造船での協力などの経済安全保障について議論する方針です。
申室長は記者団に対して、トランプ大統領が、韓国の関税がアメリカより4倍高いと話したことについては、「韓米の通商当局間で緊密な協議が行われている。よい結論に至ることを期待している」と話しました。
関税と在韓米軍を結び付けているトランプ大統領が、防衛費の引き上げを要求するのではないかという質問に対しては、「円満に解決する」と答えました。
トランプ大統領は4日、連邦議会で今後の施政方針を示す演説を行い、そのなかで「韓国の平均関税はアメリカより4倍高い。われわれは韓国に対して軍事面など、さまざまな形で多くを支援しているにもかかわらず、このようなことが起きている」と話し、韓国を公正でない同盟の例として挙げています。
韓国は、2007年にアメリカとの間でFTA=自由貿易協定を結んでいるため、ほとんどの製品を関税なしで取り引きしているにもかかわらず、「関税が4倍高い」と話した根拠は示しませんでした。
また、トランプ大統領は、アメリカに投資した企業に補助金を支給する「チップス法」 についても、廃止の方針を明確にしています。
一方で、アラスカ州の天然ガス開発には韓国などからの大規模な投資を望んでいるとし、韓国に言及しています。
トランプ大統領が仕掛けた貿易戦争が本格化するなか、韓国とアメリカの間でも利益を天秤にかけながらの綱引きが始まっています。