アメリカ政府は、韓国国防当局の「オフセット取引」が貿易障壁になっていると、初めて指摘しました。
アメリカ通商代表部が先月31日、まとめた報告書では、「韓国政府は、国防分野におけるオフセット取引を通じて、外国の防衛技術よりも国内の技術や製品を優先する政策を推進してきた」と指摘しました。
また、「契約価値が1000万ドルを超える場合、外国の契約者にオフセット取引の義務が発生する可能性がある」と付け足しました。
韓国で「折衷交易」と表現されるオフセット取引は、相手国から1000万ドル以上の武器や軍需品、軍事支援などを購入する際に、交換条件として相手国から技術移転や部品の政策・輸出、軍需支援などを受けるものです。
アメリカ通商代表部の指摘に具体的な事例が挙げられているわけではありませんが、アメリカの軍需企業が韓国に武器を販売する際に、オフセット取引として技術移転などを要求することを貿易障壁だとしているものとみられます。
このほかにもアメリカ通商代表部は、韓国の国家情報院が、セキュリティ評価制度を通じて、サイバーセキュリティの認証条件を追加で課している点や、韓国の公共機関が調達するネットワーク設備に国家情報院が認証した暗号化機能を含めるよう要求する点なども貿易障壁として指摘しています。
また、韓国インターネット振興院のセキュリティ保証プログラムについても、海外のクラウドサービス業者に相当な障壁を作っていると主張しました。
アメリカ通商代表部の貿易障壁に関する報告書は毎年、発表されているものですが、ことしは、トランプ政権の相互関税を目前に控え、初めてオフセット取引を取り上げたことがとくに注目を集めました。