ソウル市内バスの労働組合と経営者側との賃金交渉が最終的に決裂し、30日未明の始発から、法律や規則を徹底的に順守する「順法闘争」に入りました。
ソウル市内バスの労働組合は、仁川(インチョン)や京畿道(キョンギド)と比べて低い水準にある賃金の是正と、現在63歳となっている定年を65歳に引き上げることなどを求めてきました。
しかし、双方の立場の隔たりは最後まで埋まらず、29日夜、9時間以上にわたる協議の末、交渉は決裂しました。
これを受けて、労働組合は30日の始発から、「順法闘争」に踏み切りました。
「順法闘争」とは、「すべての乗客が座ったあとに発車する」「前のバスを追い越さない」など、通常は柔軟に運用している安全確認などの規定を厳格に守ることにより、バスの運行に遅れを生じさせることで、ストライキと同じような効果を上げようとする闘争方法です。
韓国では、日常はこうしたルールをある程度、柔軟に運用し、迅速にバスを運行するのが一般的であるため、今回の順法闘争でバスの運行に遅れが生じるものとみられます。
ソウル市内バスの労働組合が、ストライキではなく順法闘争という形で争議行為に踏み切るのは初めてで、市民が大きな不便を感じることになりそうです。
これを受けて、ソウル市は、緊急輸送対策を実施し、通勤時間帯の地下鉄を増便するとともに、市内12の主要路線に無料のシャトルバスを投入しました。
労使双方は来月1日からの連休期間中にさらなる交渉を行う予定ですが、この順法闘争が全面的なストライキに発展する可能性も排除できません。