公職選挙法の「虚偽事実公表罪」の要件から「行為」を削除する内容を盛り込んだ改正案が、韓国国会の法制司法委員会で最大野党「共に民主党」の主導で可決しました。
この改正案が国会の本会議で可決すれば、選挙法違反で裁判を受けている「共に民主党」の大統領候補、李在明(イ・ジェミョン)前代表が処罰を免れる可能性があります。
現行法では、選挙の候補者が職業、財産、または「行為」について虚偽の事実を公表した場合、処罰の対象となります。今回の改正案は、この「行為」を削除するものです。
日本の最高裁にあたる大法院は今月1日、李前代表のゴルフ場や都市開発事業に関する発言が「行為」の虚偽事実に当たると判断しました。
しかし、改正案が成立した場合、「行為」が削除され処罰の根拠がなくなるため、有罪・無罪を判断せず、「免訴」として裁判が終了する可能性もあります。
さらに、「共に民主党」は、大法院の判事の定員を現行の14人から最大100人に拡大する内容を盛り込んだ裁判所組織法の改正案と、最高裁に当たる大法院の判決に対して憲法裁判所に訴える憲法訴願を認める「事実上の4審制」を導入するための憲法裁判所法の改正案を、法案審査小委員会に付託しました。
これに対し、与党「国民の力」は、「大法院で有罪の判断が出た虚偽事実公表罪の処罰を免れようとしている」と批判し、「独裁国家でしか起こり得ないことだ」と強く反発しています。
ただ、まだ本会議の開催日程が決まっておらず、今回の改正案などが大統領選挙前に成立するのは難しいとの見方も出ています。