尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領が宣言した「非常戒厳」に深く関与したとして内乱重要任務従事の罪などに問われた軍幹部2人の軍事裁判で、李鎮雨(イ・ジヌ)前陸軍首都防衛司令官が、当時、国会に出動した際、尹前大統領から「ドアを破って入り、引きずり出せ」という指示を受けたと、法廷で初めて証言しました。
中央地域軍事裁判所では20日、内乱重要任務従事の罪などに問われた呂寅亨(ヨ・インヒョン)前韓国軍防諜司令官と文相浩(ムン・サンホ)前韓国軍情報司令官の軍事裁判が開かれました。李鎮雨(イ・ジヌ)前陸軍首都防衛司令官は証人として出廷し、尹前大統領が当時、「足で蹴ってでもドアを破って入り、引きずり出せ」と指示した、正常ではないと感じたと証言しました。
内乱罪は、首謀者、重要任務の従事者、同調者に分けて処罰されます。
李前司令官自身も内乱重要任務従事の罪で逮捕され、起訴されていて、これまで、憲法裁判所や国会に証人として出廷した際には、刑事裁判が進行中であることを理由に証言を拒否していましたが、非常戒厳の宣言からおよそ半年を経て、証言に応じました。
裁判所が、「中にいる国会議員を引きずり出せという意味に理解したか」と問うと、李前司令官は「その可能性があると理解した」と答えました。
これまで、尹前大統領は弾劾裁判や刑事裁判で「逮捕の指示をしたことはない」と一貫して主張しています。
また、李前司令官は、「本会議場に入って、4人で1人ずつ担いで出ろ」という尹前大統領の発言についても、副官の説明を聞いて思い出したと証言しました。
尹前大統領によるものとされるこの発言は、国会本会議場にいる議員を強制的に引きずり出すよう指示したものとされ、民主主義の要である国会を軍が武力で制圧しようとしたということで、当時、大きな衝撃を与えました。
李前司令官の副官であった呉尚培(オ・サンベ)大尉も以前、尹前大統領が、盗聴防止機能付き電話を使って、「発砲してでも、扉をこじ開けて進入しろ」と指示したと証言しています。