ソウル高等裁判所は9日、2022年の大統領選挙をめぐり虚偽の発言をしたとして公職選挙法違反の罪に問われている李在明(イ・ジェミョン)大統領について、今月18日に予定されていた差し戻し控訴審の初公判を延期すると発表しました。
李大統領は革新系与党「共に民主党」の大統領選候補だった2021年、過去に市長を務めたソウル郊外・城南(ソンナム)市の都市開発事業をめぐる不正疑惑などに関して虚偽の発言をしたとして、公職選挙法違反の罪で2022年9月に起訴されました。
このほかにも、都市開発事業をめぐる不正疑惑、北韓への送金疑惑、法人カードの私的流用疑惑など、あわせて5件の裁判を抱えています。
このうち、公職選挙法違反の事件では、今年5月、日本の最高裁判所に当たる大法院が、二審の無罪判決を破棄して審理をソウル高等裁判所に差し戻していて、今月18日に初公判が開かれる予定でした。
しかし、ソウル高等裁判所は9日、「憲法第84条に基づいて対応する」として、18日の初公判をいったん取り消し、改めて期日を指定する方針を明らかにしました。
韓国憲法第84条は「大統領は、内乱または外患の罪を除き、在任中は刑事訴追を受けない」と定められていて、この規定により李大統領の任期中は今回の裁判が事実上進まない見通しです。
一方、与党「共に民主党」は今月12日の国会本会議で刑事訴訟法の改正案の審議を予定しています。この法案には、大統領に当選した場合、進行中の刑事裁判を停止するという内容が盛り込まれていて、李大統領を擁護する意図があるのではないかという批判の声も上がっています。