尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の内乱罪をめぐる裁判で、尹前大統領が「非常戒厳」当時、「国会に軍人を1000人送るべきだった」と話していたとする証言が法廷で明らかにされました。
ソウル中央地方裁判所で開かれた16日の裁判では、金龍顕(キム・ヨンヒョン)元国防部長官に随行していた、キム・チョルジン元国防部軍事補佐官が、証人として出廷し、国会で戒厳の解除を求める決議案が通過した直後の午前1時20分ごろ、尹前大統領が国防部の戦闘統制室などを訪れ、およそ30分間滞在し、金元長官や朴安洙(パク・アンス)陸軍参謀総長らと会議を行ったと証言しました。
このなかで、尹前大統領が「国会に兵力は何人送ったのか」と尋ね、金元長官が「500人ほど」と答えると、「1000人は送るべきだった」と発言したことを聞いたかどうかを問う検察の質問に対し、キム元補佐官は「そのように聞いた記憶がある」と答えました。
去年12月3日に発令された「非常戒厳」では、戒厳軍が国会に投入されましたが、尹前大統領はこれまで、「秩序維持のために必要最小限の兵力を投入した」と主張してきました。
一方、尹前大統領による「非常戒厳」の宣言をはじめ、金建希(キム・ゴニ)前大統領夫人をめぐる疑惑、そして海兵隊員が殉職した事故について、通常の検察から独立した特別検察官による捜査を可能にするための法案、いわゆる「3大特検法」をめぐり、李在明(イ・ジェミョン)大統領は12日、特別検察官を任命しました。
尹前大統領は、16日に出廷した際、これに関する報道陣の問いかけには一切答えませんでした。
尹前大統領はことし1月、内乱の罪で拘束されましたが、ことし3月、裁判所によって拘束が取り消され、現在は在宅のまま裁判を受けていますが、「3大特検」で新たな容疑が明らかになれば、再び拘束される可能性もあります。