ジョセフ・ユン駐韓アメリカ大使代理が、韓米同盟の「近代化」としてアメリカの対中政策にともなう韓国駐留アメリカ軍の態勢の変更や、韓国の国防費と防衛費分担金の増額の必要性などに言及し、今後、韓国側と本格的に議論していくことを示唆しました。
ユン大使代理は、ソウルで開かれた韓国のメディア財団主催のセミナーで、「アメリカは韓米同盟を近代化し、新たな戦略的課題や地域の問題をともに議論することを望んでいる」と述べました。
また、アメリカは中国問題を最優先と位置づけているとしたうえで、「域内のアメリカ軍の資産や韓国駐留アメリカ軍の態勢をどうするかという問題がある」と語りました。
さらに、ユン大使代理は、韓国の国防費の増額についても言及しました。
アメリカは、同盟国に対し、GDPの5%程度まで国防費を増やすべきだと主張しています。
ユン大使代理は、韓国駐留アメリカ軍の防衛費分担金についても触れ、「防衛費分担協定には、韓国が負担する軍事施設の建設費、人件費、軍需支援費が盛り込まれているが、これ以外の費用についても、今後どのように分担するか、韓米間で協議するというものだ」と述べました。
これについて、李在明(イ・ジェミョン)政権の発足を受け、アメリカ側が、韓米同盟の近代化に向けて本格的に協議する議題を示したものだという見方が出ています。
これまで、トランプ政権が韓米同盟の近代化という表現に言及したことはありましたが、抽象的な話にとどまっていました。
また、ユン大使代理は、アメリカはNPT=核拡散防止条約体制の維持に強い意志を持っているとし、「アメリカは北韓を合法的な核保有国として認めることはない」としました。
そのうえで、「北韓の非核化は、唯一で、もっとも大きな目標になるだろう。非常に難しい目標でもある。すでに核兵器を保有している国に対して核を放棄させることは大きな挑戦だ」と述べました。
中長期的には非核化を最終目標としますが、当面は、核軍縮など、脅威を減らしていく方向でアプローチすることも視野に入れているとみられています。