旧日本軍の元慰安婦を象徴する「平和の少女像」が、ドイツ西部の都市、ボンにある女性博物館に常設展示されることになりました。この少女像は、日本政府の抗議を受けて、およそ4年間にわたりドイツ各地を転々としてきましたが、ドイツ国内で恒久的に設置されるのは今回が初めてです。
ボン女性博物館は、現地時間の28日、「平和の少女像」の除幕式を行い、「女性の人権と反戦の象徴として、少女像の伝統を引き継ぐ」と明らかにしました。
この博物館は、芸術家で創設者でもあるマリアンネ・ピッツェン館長が1981年に設立した世界初の女性博物館で、これまで女性の視点から企画展を行ってきました。
ピッツェン館長は、「戦争と女性への暴力は現在も続いている」としたうえで、「少女像は当館にとって非常に重要な象徴だ」と述べました。
今回、設置された少女像は、2021年にドレスデンの民俗博物館で初めて展示されたあと、日本政府の抗議を受けて各地を転々としながら、一時的な展示と撤去を繰り返してきました。
ドイツ当局は過去に、日本の外交官による抗議と「公共の敷地であること」を理由に少女像の展示を中断させたことがありましたが、今回、少女像が設置されたのは博物館が所有する私有地で、外部の干渉を受けない場所であることから、少女像がドイツ国内で初めて「恒久的に定着」した形となります。
この少女像は、韓国の彫刻家によって製作され、ドイツの韓国系市民団体のコリア協議会(Korea Verband)がドイツでの設置を主導したものです。
一方、日本側は強く反発していて、岩屋毅外務大臣は「極めて遺憾だ」とする立場を明らかにしました。