李在明(イ・ジェミョン)大統領が就任からわずか1か月で閣僚人事をほぼ終え、G7=主要7か国の首脳外交もこなしたことについて、強い推進力で国政を安定させたという評価が出ています。
李大統領は先月4日の就任以降、国務総理や各省庁の長官候補を速やかに指名し、政権運営の土台づくりに力を注いできました。2日の時点で、閣僚のおよそ9割が内定していて、人事のスピード感が際立っています。
また、就任初日には、経済危機対応のタスクフォースの設置と補正予算の編成を指示しました。2回目となる補正予算案、総額30兆5000億ウォン(約3兆5000億円)は、わずか2週間で国会を通過し、経済回復に向けた迅速な動きが注目されました。
外交面では、「韓米同盟を最優先とし、韓日米3か国の連携を強化する」という基本方針のもと、アメリカのトランプ大統領や日本の石破総理大臣、中国の習近平国家主席と相次いで電話会談を行いました。
なかでも、G7首脳会議に出席した際、石破総理大臣との間で「シャトル外交」の再開で合意したことは、韓日関係の改善に向けた前向きなシグナルと受け止められています。
一方で、最大の懸案とされる韓米間の関税協議については、トランプ大統領がG7首脳会議の期間中、イスラエルとイランの軍事衝突を受けて急きょ帰国したため、予定されていた韓米首脳会談が見送られ、進展が見られていません。
こうしたなか、政府関係者の間では、早ければ今月末または来月初めに、李大統領がアメリカを訪れ、会談実現を目指すという見方も出ています。
また、南北関係では、韓国が北韓に向けた拡声器放送とビラの散布を中止したことを受け、北韓も先月12日に韓国向けの騒音放送を中止するなど、ひとまず呼応する姿勢を見せていて、緊張緩和に向けた兆しも出ています。
「スピード重視」で駆け抜けた1か月でしたが、今後は、過熱する不動産市場の安定化や、内定した閣僚に対する人事聴聞会への対応、さらには外交課題への着実な取り組みなど、一つひとつの課題に丁寧に向き合いながら、政権の足場を固めていくことが求められています。