長崎県の端島炭坑、通称「軍艦島」などを含む「明治日本の産業革命遺産」について、韓国政府は、2015年に世界遺産に登録された当時、日本政府が、韓半島出身者の強制労働の事実など、この遺産をめぐる全体の歴史を説明する措置を取るとしていた約束が履行されていないとして、ユネスコに対し問題提起を行いましたが、議題として採択されませんでした。
大統領室は8日、「日本の近代産業施設に関する議題が正式な案件として採択されなかった」と発表し、遺憾を表明しました。
フランス・パリで開かれているユネスコの世界遺産委員会で、韓国側は、日本による韓半島出身者の強制労働に関する説明が不十分で、世界遺産登録時に行われた約束が履行されていないとして、この問題を正式な議題として採択し、委員会で議論するよう求めました。
これに対し、日本側は、この問題は2国間レベルで議論すべきだとして修正案を提出。7日に21の委員国による投票が行われ、日本の修正案が賛成7、反対3で可決されました。その他の国は棄権したとみられています。
大統領室は、「韓国政府は、日本が自ら行った約束と、その約束が含まれたユネスコ世界遺産委員会の決定を忠実に履行すべきだという立場であり、今後も世界遺産委員会で問題提起を続けていく方針だ」と明らかにしました。
しかし一方で、16日まで続く今回の会議期間はもちろん、軍艦島に関する問題を今後もユネスコで取り上げることも、困難になったという見方が出ています。