韓国の特別検察官チームは、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の妻、金建希(キム・ゴニ)氏に関する一連の疑惑を捜査するなかで、2022年の国会議員補欠選挙をめぐる公認介入の疑いについて、初めての強制捜査に踏み切りました。
特別検察官は8日、2022年当時、与党だった「国民の力」の候補者公認に尹前大統領夫妻が不当に関与した疑いがあるとして、「国民の力」の現職議員である尹相炫(ユン・サンヒョン)氏と、元議員の金映宣(キム・ヨンソン)氏の自宅などを家宅捜索しました。
尹前大統領夫妻には、同じ年に行われた大統領選挙の選挙運動期間中、政治ブローカーの明泰均(ミョン・テギュン)氏から世論調査を無償で提供された見返りとして、金映宣氏が補欠選挙の候補に公認されるよう働きかけた疑いが持たれています。尹相炫氏は当時、党の公認管理委員長を務めていました。
また、9日には、金夫人に関連する別の疑惑、建設会社「サムブ」の株価操作事件の捜査も本格化しました。
特別検察官は、「サムブ」の代表と前代表を呼んで事情聴取を行っています。
この2人は、おととし5月にポーランドで開かれたウクライナ再建フォーラムへの参加を名目に投資家を集め、株価を吊り上げたとされています。
「サムブ」がフォーラムで現地の自治体と業務協約を結んだことを広報したことで、株価は1000ウォン台から5500ウォンにまで急激に上昇していました。
同じ年の7月、尹前大統領夫妻はウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領と再建事業について協議しています。
その前後に、金夫人の口座を管理していたとされる人物が「サムブを明日チェックして」とメッセージを残していたことが報じられ、金氏が関与した疑惑が強まっています。
一方、昨年12月に「非常戒厳」を宣言した尹前大統領に対しては、特別検察官が拘束令状を請求しており、その可否は9日夜にも裁判所によって判断される見通しです。
*2025年7月22日修正*