昨年12月の「非常戒厳」をめぐり、政府から独立して捜査を行っている特別検察官の請求を受け、韓国の裁判所は10日未明、尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領に対し、特殊公務執行妨害などの疑いで身柄の拘束を認めました。
去年「非常戒厳」を宣言して罷免された尹前大統領は、内乱を首謀した罪でことし1月に逮捕・起訴されたあと、ことし3月に釈放され、在宅の状態で刑事裁判が行われていましたが、釈放から4か月で再び拘置所に収監されます。
拘束の妥当性について、およそ6時間40分にわたる審査を行ったソウル中央地裁は、「証拠隠滅の恐れがある」として、特別検察官による勾留請求を認めました。
特別検察チームは、66ページ分の請求書の中で16ページを使って、「証拠隠滅の恐れ」を強調し、尹前大統領の身柄の拘束の必要性を主張しました。
特別検察チームは、金成勲(キム·ソンフン)元大統領室警護次長や姜義求(カン·ウィグ)元大統領室付属室長など、重要人物の陳述が変わったことに注目しました。
尹前大統領の弁護人が取り調べに同席した際に、二人の陳述に変化があったことを根拠に、尹前大統領側から懐柔や圧力を行使した可能性を提起しました。
在宅の状態で裁判を続ける場合、事件関係者に「自身に有利に証言するよう懐柔、圧迫する可能性が非常に高い」と主張したのです。
およそ20分間続いた最終陳述で、尹前大統領側は容疑を全面的に否認したということですが、裁判所の決定を覆すことはできませんでした。
尹前大統領は今後、身柄を拘束された状態で内乱首謀罪に加え、妻の金建希(キム・ゴニ)夫人をめぐる疑惑や、2023年7月に起きた海兵隊員の殉職事件の疑惑をめぐる裁判を受けることになります。
勾留期間は最長20日ですが、その前に特別検察官による起訴が行われた場合、最長6か月間身柄を拘束された状態で裁判を受ける可能性があります。