韓国とアメリカの間の関税協議をめぐり、政府関係者が「農産物分野も戦略的な判断が必要だ」と発言したことについて、農畜産物の輸入規制の緩和を示唆したとして、畜産関係団体が強く反発しています。
「韓牛(ハヌ)」と呼ばれる韓国在来種の牛を飼育する畜産農家などでつくる全国韓牛協会は15日、声明を発表し、「政府が農畜産物の輸入障壁をさらに緩和する可能性を示したことは、農畜産業に犠牲を強いるものであり、到底容認できない」と強く批判しました。
協会によりますと、現在、アメリカ産牛肉の最大の輸入国は韓国で、去年、韓国に輸入された牛肉およそ46万トンのうち、ほぼ半分にあたるおよそ22万トンがアメリカ産だったということです。
また、韓米自由貿易協定(FTA)の規定により、2026年からアメリカ産牛肉にかかっていた関税が完全に撤廃される予定であり、今後、輸入量はさらに増加する見通しです。
協会は、「すでに韓牛産業は大きな打撃を受けており、1頭あたり161万ウォン(約18万円)の赤字が出ているにもかかわらず、政府からの支援は極めて不十分だ」と訴えました。
また、アメリカが韓国との通商で大きな利益を得ていることを挙げ、「アメリカ政府が、相互関税を理由に農畜産物への非関税障壁の撤廃を求めるのであれば、韓国政府はむしろアメリカ産牛肉に25%の関税を課すべきだ」と強硬な立場を示しました。
韓国は2008年、アメリカ産牛肉からBSE=牛海綿状脳症の感染リスクが懸念されたことを受け、生後30か月以上のアメリカ産牛肉の輸入を禁止しました。しかし、アメリカ側はこの規制を「科学的根拠に乏しい非関税障壁」だとして、繰り返し撤廃を求めています。