事故や事件の被害者や遺族に対する誹謗中傷や名誉毀損などの「2次加害」への対策として、警察が専従の捜査チームを新たに発足させ、全国的な取り締まりを強化します。チームは捜査にとどまらず、制度や法整備にも関与し、再発防止に取り組む方針です。
警察庁は28日、2022年に梨泰院(イテウォン)で起きた転倒事故の遺族らに対するネット上での中傷が社会問題となるなか、「2次加害犯罪」に対応する専従チームの設置を発表しました。このチームは警視級の責任者を含む19人で構成され、名誉毀損や侮辱、脅迫などの行為を捜査対象とし、全国規模での取り締まりを行います。
今回の措置は、今月17日に李在明(イ・ジェミョン)大統領が「2次加害に対する常設の対応体制を構築するよう」指示したことを受けたものです。
韓国では、匿名性の高いインターネットや、被害者に対する社会的理解の欠如、さらにはイデオロギー的対立などが背景にあり、事件や事故の被害者を標的にした2次加害が頻繁に起きています。
去年12月の済州(チェジュ)航空機事故では、犠牲者の遺族を侮辱した14人が起訴されるなど、こうした行為の深刻さに社会的な関心が集まっていました。
新設チームは、地方警察との連携を強化するとともに、民間のインターネット監視団「ヌリコップス」とも協力し、2次加害につながる投稿の遮断や拡散防止にも力を入れるとしています。
警察は「被害者の保護にとどまらず、社会全体の認識を変える制度的な改革にも注力していく」と強調しています。