朝鮮前期の仏教美術の傑作とされる「十王図」の一部が日本から返還され、国立中央博物館で初めて公開されることになりました。
国立中央博物館と国外所在文化遺産財団によりますと、今月1日から開催される特別展「新しい国、新しい美術:朝鮮前期美術大展」で、返還された文化財の「十王図」3点が展示されるということです。
「十王図」は、死後の世界で亡者の罪を裁く10人の裁判官「十王」を描いた仏画で、朝鮮前期に制作された作品です。
今回公開されるのは、閻魔王、変成王、平等王を描いた3点で、それぞれ地獄での審判、輪廻転生、業(カルマ)の重みを象徴する場面が表現されています。
なかでも、閻魔王図では、生前の行いを鏡で直視する罪人の姿が写実的に描かれていて、変成王図では、異例にも蓮の花と光に包まれた輪廻転生の場面が表現されているのが特徴です。
博物館側は、今回の「十王図」が教化的性格をもつ仏画であり、当時の仏教的思考を反映しているものだと説明しています。
また、今回の展示では、「粉青沙器 剝地蓮花魚文扁甁」など、新たに入れ替えられた12点の文化財もあわせて鑑賞することができます。
展示は今月5日から6日間、無料で行われます。