人権問題に尽力してきた徴用被害者の梁錦徳(ヤン・クムドク)さんに国民勲章が授与されました。尹錫悦(ユン・ソンニョル)前政権当時、授与が見送られてから、およそ3年ぶりとなります。
国家人権委員会は2日、韓国南西部・光州(クァンジュ)の療養施設で、梁さんに国民勲章を渡したと発表しました。
国民勲章は、社会の発展に貢献した人物に与えられるもので、今回、梁さんに授与された「牡丹章」は、5等級のうち上から2番目にあたります。
梁さんは、「李在明(イ・ジェミョン)大統領のおかげで国民勲章を受章することができたことに感謝する。国民のために尽力している大統領を支持する」と感想を述べました。
1929年に全羅南道(チョンラナムド)羅州(ナジュ)市で生まれた梁さんは15歳の時に強制徴用され、三菱重工業の名古屋航空機製作所で働かされました。
その後、1992年から日本政府を相手取って訴訟を起こして以来、30年以上にわたり、徴用被害者の権利回復運動に努めてきました。
国家人権委員会は、その功績を認め、2022年12月9日に開催された「人権の日」の記念式で梁さんに国民勲章を贈る予定でしたが、尹錫悦政権当時の外交部が難色を示したことで、授与は保留されました。
一部では、外交部が反対した背景に、尹政権が徴用問題をめぐる解決策を示したことをきっかけに韓日関係の改善が進んだことから、「日本政府への配慮」が働いたのではないかという見方も出ていました。
梁さんは、徴用被害者への賠償金の支払いを、韓国政府傘下の財団が肩代わりする「第三者弁済」に反対してきました。
その後、政権交代を経て、先月29日に李在明政権下で開催された閣議で、梁さんに国民勲章を贈ることが決定し、3年ぶりに授与が実現しました。