北韓軍は、南北の軍事境界線付近で南北を遮断する構造物の工事を行っていた際に、韓国軍から警告射撃を受けたと発表し、挑発行為だと反発しました。
北韓の(コ・ジョンチョル)朝鮮人民軍副総参謀長は23日、国営の朝鮮中央通信を通じて談話を出し、今月19日に韓国との軍事境界線付近で南北を遮断する構造物を設置する作業をしていたところ、韓国軍から機関銃で十数発の警告射撃を受けたと主張し、韓国側に挑発行為をやめるよう求めました。
金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は2023年末に「敵対的二国家論」を打ち出してから、韓国をまったく別の国家として扱う姿勢を強調しています。南北の「軍事境界線」は、韓国戦争の休戦協定で定められた停戦ラインですが、北韓はこれについても「国境」と位置付け、去年から軍事境界線付近に対戦車用の防護壁などを設置し、韓国への敵対姿勢を一層鮮明にしています。
北韓は、「工事は安全な環境を整備するためのものであり、脅威ではない」と強調し、「韓国からの妨害行為が続く場合、相応の対応措置を取ることになる」と警告しました。
一方、北韓の談話を受けて韓国軍の合同参謀本部は、「今月19日午後、作業をしていた北韓軍の兵士が軍事境界線を南側に越えたため、警告射撃を行い、その後、境界線を越えた兵士は北側に戻った」としたうえで、北韓軍の動向を注視していると発表しました。
ただ、韓国軍はこの事実を当時、メディアには公表していませんが、これは北韓と関係改善を模索する李在明(イ・ジェミョン)政権の対北韓政策に沿い、不要な緊張の高まりを避けるための対応だったとみられています。
特に、今回の発表が日にちを置いて、韓半島の有事を想定した大規模な韓米合同軍事演習「乙支(ウルチ)フリーダムシールド」の期間中に行われたことから、北韓が演習に反発を示す狙いがあったとみられています。