韓国北東部の江原道(カンウォンド)江陵(カンヌン)市で前例のない深刻な干ばつが続いています。江陵市の生活用水のおよそ9割を供給する五峰(オボン)貯水池の貯水率が、水の供給が困難となる15%を下回ったことを受け、政府は大規模災害時に発令する「国家災難事態」を宣言しました。自然災害を理由にこの宣言が出されるのは初めてです。
韓国農漁村公社によりますと、8月31日午前7時の時点で、五峰貯水池の貯水率は14.9%となり、飲料水供給の最低基準とされる15%を割り込みました。これを受け、江陵市は水道の配水量を通常の75%まで減らす制限給水を開始しました。
江陵市では8月20日から、すでに5万3000世帯を対象に水道メーターのバルブを50%だけ開ける措置を実施していましたが、11日後にさらに厳しい規制へ移行した形です。今回の制限給水により、洗濯や入浴など日常生活への影響が深刻化しているほか、30日から農業用水の供給も停止されたことから農作物の被害も広がっています。
李在明(イ・ジェミョン)大統領は8月30日、江陵市を訪れ、「国家災難事態」を宣言しました。また、給水を支援するため「国家消防動員令」の発令も指示しました。これにより、全国から集結した給水車およそ71台が、江陵で生活用水の供給に当たっています。