中国の習近平国家主席が10月に北韓を訪問したあと、APEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議に出席する場合、中国が米朝首脳会談の仲介に動く可能性があるとする分析が示されました。
これは、韓国政府傘下の国策研究機関、国家安全保障戦略研究院が最近まとめた報告書で指摘したものです。
報告書は、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が今月、中国の抗日戦争勝利記念式典にあわせて中国を訪問したことについて、過去3年半冷え込んでいた中朝関係を「劇的に復元した」と評価しました。北韓と中国は今月4日の首脳会談で、高官級交流の拡大や戦略的な意思疎通の強化などで合意しています。
一方で、中国の公式発表に「相互利益」という文言が盛り込まれなかった点に触れ、北韓が期待していた貿易不均衡の是正や外貨支援までは得られなかったと分析しました。
さらに、中国外務省が韓半島情勢について「中国は客観的で公正な立場を堅持する」と述べるにとどめたことから、北韓が求める「核保有国としての地位の承認」も受け入れていないと解釈できるとしています。
研究院は、10月10日の朝鮮労働党創建80周年に習主席が北韓を訪問するかどうかが、中朝関係の分岐点になると予測しています。そのうえで、習主席がAPEC首脳会議に出席すれば、中国が米朝対話の仲介に乗り出す可能性があるとの見方を示しました。