アメリカ南部ジョージア州で移民当局に拘束されていた韓国人労働者の帰国手続きが再開され、現地時間の11日正午、チャーター機で韓国に向け出発しました。
韓国政府は今後、アメリカとビザ制度の改善に向けた協議に乗り出す方針です。
趙顕(チョ・ヒョン)外交部長官は、アメリカのルビオ国務長官と面会し、韓国人専門人材向けの新たなビザの枠を新設することを求め、アメリカ国務省と国土安全保障省などが参加するワーキング・グループを設置することで合意しました。
韓国政府は、すでにアメリカ議会に提出されている「韓国パートナー法」に基づき、韓国人専門人材向けの就労ビザ「E-4」を新設し、年間1万5000人の滞在を可能とする案を進める方針です。
これまで、専門職向けの就労ビザ「H-1B」は年8万5000件という上限があり、抽選で当たる必要があるほか、申請にも時間がかかることから、韓国企業が専門人材を適時に派遣することが難しいという問題がありました。
ただ、新たなビザの枠を新設するまでは時間がかかるだけに、現段階では会議や契約への参加を想定した短期ビザ「B-1」を柔軟に適用できるようにすることを中心に協議するものと見られます。
韓国企業はこれまでESTA=「電子渡航認証システム」や、短期ビザ「B-1」で派遣した技術者の作業を合法的な出張と解釈していましたが、アメリカ移民当局は工場での設置・試運転作業を「労働」とみなし、今回の拘束につながりました。
韓国政府は、工場建設や装置設置を担当する技術者が「B-1」で業務できると明記するガイドラインを設けるよう求めています。
さらに、協力会社や下請け会社の職員がビザを取りやすくすることや、駐在員ビザ「L-1」や投資駐在員ビザ「E-2」の取得条件緩和も提案する方針です。
ホワイトハウスは、「国務省と国土安全保障省が対応にあたっている」と説明し、省庁間の意識のズレが生じないよう、対応すると説明しました。