パレスチナを国家として承認する国が増えているなか、韓国政府は、いまのタイミングではパレスチナ国家の承認を見送る方針を表明し、慎重な立場を維持しました。
趙顕(チョ・ヒョン)外交部長官は現地時間の23日、ニューヨークの国連本部で開かれたパレスチナ問題に関する国連安全保障理事会のハイレベル会合で「韓国は、二国家解決の実現に役立つタイミングでパレスチナを国家として承認する」と述べました。
趙外相は、ガザ地区での飢餓と人道的危機に深い懸念を示し、即時停戦、人質解放、安全な人道的アクセスの確保を強く求めました。
また、イスラエルの地上作戦や入植地建設の再開に対しても深刻な懸念を表明しました。
さらに、趙外相は、「二国家解決こそが、イスラエルとパレスチナの紛争を解決し、持続可能な平和を構築する唯一の道だ」と強調し、韓国政府として国際社会の取り組みに積極的に参加していく姿勢を示しました。
趙外相のこうした発言は、カナダ・イギリス・オーストラリア・ポルトガル、フランスなどの西側諸国が相次いでパレスチナ国家承認を宣言した直後に発表されたものです。
現在、国連加盟国193か国のうち、151か国がパレスチナを国家として承認しています。
しかし、G20加盟国のうち、アメリカ、ドイツ、イタリア、日本、韓国の5か国は未承認のままです。
韓国は去年、国連安保理でのパレスチナ国連加盟に関する採決で賛成票を投じ、今月12日には国連総会の「二国家共存を支持する決議案」にも賛成しました。
それでも、公式的な国家承認は見送っています。
これは韓米同盟やイスラエルの安全保障を考慮した戦略的判断によるものと分析されています。