このところ、韓国各地で中国人に対する嫌悪感情を示す「嫌中デモ」が相次いでいることを受け、ソウル市九老(クロ)区の中学校に通う生徒たちが街頭キャンペーンを行い、共存と尊重を呼びかけるメッセージを発信しました。
中国人が多く居住するソウルの明洞(ミョンドン)や大林(テリム)駅付近などでは、一部の右翼団体が中国人観光客への苦情や中国人による犯罪を理由にデモを行っています。
これらの地域には、中国人のほかに朝鮮族も多く住んでいて、一部の学校では全校生徒の半数以上が中国にルーツを持っているとされています。
街頭キャンペーンに参加した生徒たちは、「嫌悪はストップ、尊重はスタート」などとシュプレヒコールをあげ、近くの小学校まで行進しました。
また、一部の生徒は、「罪のない友達が、嫌悪をあおる大人たちの発言に傷つくのが心配だ」と話していました。
ソウル市のチョン・グンシク教育監も、この日のキャンペーンに参加し、「特定の民族に対して嫌悪感情を抱き、差別することは、過去の悲劇を繰り返すことにほかならない」としたうえで、「市民や政府、警察と協力し、ヘイトデモに厳しく対応する」と述べました。
専門家らは、「特定の地域でデモが繰り返し行われる場合、地域住民とのトラブルがエスカレートする可能性がある」として、嫌悪感情の拡散を防ぐための話し合いと制度上の対応が必要だと指摘しました。