昨年12月の「非常戒厳」をめぐり、特別検察官に追起訴された尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領が、再拘束からおよそ2か月ぶりにソウル中央地裁に出廷し、初公判が開かれました。
午前10時すぎ、上下紺色のスーツに収容者番号のバッジを付けて法廷に姿を見せ、白髪が増えやつれた様子でした。
尹前大統領は、国務委員9人の権限を侵害した疑いや、戒厳宣言文の作成・破棄、事実と異なる内容の発表、暗号通信記録の削除指示、身柄拘束のための令状執行妨害などで追起訴されています。
特別検察チームは「憲法上の権力統制を無力化し、証拠を隠滅しようとした憲法破壊行為だ」と指摘しました。
これに対し、尹前大統領は公訴事実を全面的に否認し、「大統領の権限に基づき、国家非常事態として戒厳令を宣言しただけだ」と述べたうえで、内容が内乱首謀罪と重複しており「二重起訴」にあたると主張しました。
この裁判は内乱首謀罪の裁判とは別に行われており、刑事訴訟法に基づき初公判には被告人の出席が義務付けられています。