検察庁を廃止し、起訴権と捜査権をそれぞれ担う別の組織を新設することなどを盛り込んだ政府組織法改正案が、与党「共に民主党」の主導によって国会で可決され、検察庁は設立から78年で廃止されることになりました。
「共に民主党」をはじめとする与党系の政党は26日夜、改正案に反対する最大野党「国民の力」が行っていた、長時間にわたる演説を続けて採決を阻止する議事妨害を24時間で打ち切ったあと、出席した180人のうち賛成176票、反対1票、棄権3票で改正案を可決しました。「国民の力」の議員らは全員、採決に参加しませんでした。
改正案は、検察庁を廃止し、起訴業務は法務部のもとに新設される「公訴庁」が、また従来の検察の捜査業務は行政安全部のもとに新設される「重大犯罪捜査庁」が、それぞれ担当するという内容が骨子となっています。
1年間の猶予期間が設けられ、来年9月から施行されます。
検察は、1948年に裁判所から分離して以降、捜査・起訴・令状請求の権限を独占してきました。海外でも例を見ないほど強大な権限を持つことから、権力を濫用しているという批判が絶えませんでした。
このため、90年代の金泳三(キム・ヨンサム)政権から改革の試みは続いてきましたが、歴代政権が検察の権力を利用したい思惑を捨てきれず、改革が中途で頓挫することが繰り返されてきました。
一方、検察が独占してきた権限を「公訴庁」と「重大犯罪捜査庁」に分けることで「権限の分散」という利点がある一方で、「権力の二元化」という新たな問題が生じるため、専門家らの間では、これを抑制する仕組みが必要だとの指摘が出ています。
*2025年9月30日修正*