韓国政府は、1948年に政府の樹立とともに設置した検察庁を、来年9月、発足から78年で廃止することを決めました。
大統領室は30日、検察庁を廃止するとともに、起訴権と捜査権をそれぞれ担う別の組織を新設することなどを盛り込んだ政府組織法改正案を議決したと明らかにしました。
この改正案は26日夜、与党「共に民主党」の主導で国会で可決されました。
改正案の骨子は、検察庁を廃止し、起訴業務は法務部のもとに新設される「公訴庁」が、また従来の検察の捜査業務は行政安全部のもとに新設される「重大犯罪捜査庁」が、それぞれ担当し、起訴と捜査機能を分離するという内容となっています。
この改正案は1年間の猶予期間が設けられ、来年9月から施行されます。
韓国の検察は、日本と同じく、捜査と起訴を担当してきましたが、それゆえに権力が過度に集中することや、政治的中立性が確保されていないという点が問題視されてきました。
政府はまた、財務省にあたる企画財政部を分離し、新たに「財政経済部」と「企画予算処」を設置するほか、環境部を気候エネルギー環境部へ、女性家族部を性平等家族部へとそれぞれ改編することに決めました。
また、従来の放送通信委員会を廃止し、放送・メディア・通信政策を統括する「放送メディア通信委員会」を新設することを議決しました。
新たな委員会は7人体制で運営され、委員長は大統領の指名と国会の推薦を経て任命されます。人事聴聞会や弾劾の対象にも含まれるということです。
李在明(イ・ジェミョン)政権の改革における中核措置として推進された今回の政府組織法改正案は、韓国の政治と司法全般に大きな変化をもたらすものとみられます。