韓国環境部は、新たに建設するダムの候補地のうち4か所について事業を中止すると発表しました。これで、当初計画していた14のダム建設事業の半数が事実上、中止されることになりました。
環境部は30日、「住民の反対、経済性の不足、代替案の存在」などを理由に、4つのダムの建設事業を推進しないことを決めたと明らかにしました。
前の政権ですでに3つのダムの建設事業が中止されていて、当初計画していた14のダムのうち、合わせて7つのダムの建設事業が取り消されたことになります。
政府は、「既存の揚水発電用ダムや貯水池の活用、河川整備などによっても洪水や干ばつに対応できる」として、ダム建設よりもほかの方策を優先的に検討すると説明しました。
ただ、残る7つのダムについては、必要性や規模を再検討し、最終的に推進するかどうかを決めるとしています。
一方、今回の決定については、「政権交代が行われるたびに、水資源政策が変わる『不安定さ』を如実に物語っている」という批判の声が出ています。
文在寅(ムン・ジェイン)政権は、新たなダムの建設計画を全面的に中止しましたが、前の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は、気候危機への対応を理由に再び推進し、いまの政権はそれを再び中止としました。
専門家らは、「ダム建設は、数十年先を見据える長期事業であり、政権の政治的立場によって左右されてはならない」と指摘し、住民や専門家の意見を幅広く反映するガバナンスの必要性を強調しています。
金星煥(キム・ソンファン)環境部長官は、「無理にダムを建設する決定があったかどうか、監査院による点検を受けることもあり得る」と述べ、ダム建設の決定過程に対する内部監査が行われる可能性も示唆しました。