尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の側近とされる最大野党「国民の力」の権性東(クォン・ソンドン)議員が、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)から違法な政治資金を受け取ったとして、特別検察チームにより起訴されました。
特別検察チームは2日、権議員を政治資金法違反の疑いで逮捕・起訴したと明らかにしました。権議員は韓国北東部の江陵(カンヌン)を地盤とする当選5回の重鎮議員で、尹前大統領の最側近とされる人物です。
大統領選挙を控えていた2022年1月、権議員は当時の教団幹部から、大統領選に立候補していた尹前大統領に組織票を入れる見返りとして教団への支援を要請されたうえで、違法な政治資金1億ウォンを受け取った疑いがもたれています。
韓国では1999年に、重大事件における政治的独立性を確保するため、政府から独立して捜査を行う特別検察官制度が導入されましたが、この制度の導入以降、現職の国会議員が起訴されたのは今回が初めてです。現職の国会議員は原則として国会の会期中に逮捕されないとする「不逮捕特権」を持ちますが、国会が逮捕同意案を可決すれば例外として可能となります。権議員は先月の国会で逮捕同意案が可決され、同月16日に拘束されました。
一方、今回の事件で、旧統一教会と政界との癒着をめぐる疑惑が浮き彫りになっています。特別検察チームは、最大野党「国民の力」の党員名簿を管理する業者に対して家宅捜索を行ったところ、およそ500万人の党員のうち、11万人が旧統一教会の信者であることが確認されたと明らかにしました。また、旧統一教会の信者が集団で入党していた証拠も確保したということです。
現在、特別検察チームは、2023年に行われた党大会で、権議員を党の代表に当選させるために、旧統一教会が信者を入党させたとみて捜査を続けています。