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韓国の抗生物質の使用量が、OECD=経済協力開発機構の加盟国の中で2番目に多いことが分かりました。
韓国疾病管理庁によりますと、2023年、韓国では1日に1000人あたり31.8人が抗生物質を使用していました。これはOECD加盟国の平均と比べておよそ1.7倍に上る数値で、データが公表された国の中で2番目に高い水準でした。前年の2022年には、抗生物質を使用した人が、1日に1000人あたり25.7人と加盟国の中で4位だったため、1年の間、状況がさらに悪化しています。
抗生物質の過剰な使用は、「スーパー耐性菌」と呼ばれる薬の効かない細菌を生み出し、治療が難しくなったり、死亡率の上昇につながるおそれがあります。WHO=世界保健機関は2019年、抗生物質への耐性を人類の健康を脅かす10大要因の一つに挙げています。特に免疫力の低い高齢者や子どもにとって深刻な脅威とされています。
韓国では、風邪でも抗生物質を使えば早く治るという誤った認識や、患者の要望に応じて薬を処方する慣習、さらに短い診療時間などが重なり、抗生物質の乱用につながっていると指摘されています。
こうしたなか、政府は去年11月から「抗生物質適正使用管理(ASP)」制度の試行事業を始めました。医療機関の専門スタッフが、抗生物質の処方の必要性や投与量、期間を点検し、不必要な使用を減らす取り組みです。
疾病管理庁の林承寬(イム・スングァン)庁長は、「抗生物質を正しく使うことは、感染症に弱い高齢者や子どもの命を守ることにつながる」と述べ、制度の定着と中小・療養型病院への拡大に力を入れる考えを示しました。