米中の貿易摩擦が再燃する懸念が高まるなか、アメリカのトランプ大統領は中国の習近平国家主席と良好な関係を保っていると強調し、中国との摩擦緩和に向けて交渉の余地があるとの姿勢を示しました。
今月9日、中国がスマートフォンや電気自動車などに不可欠なレアアースの輸出規制を強化すると発表したのに対し、トランプ大統領は「敵対的行為」と非難し、10日には中国製品に対して来月1日から100%の追加関税を課すと発表したことで、このところ、米中の緊張が高まっています。
こうした中、トランプ大統領は現地時間の12日、イスラエルに向かう専用機の機内で記者団に対し、「中国とはうまくやっていけると考えている。習近平主席とは良い関係を維持している」と述べました。一方で、来月1日から中国に対して100%の追加関税を課すかどうかについては、「その予定だ」と話し、強硬姿勢も崩していません。
この発言に先立ち、トランプ大統領は自身のSNSにも「中国が不況に陥ることを望まない。アメリカは中国を助けたい」と投稿していて、対中政策の硬軟両面を使い分ける姿勢もうかがえます。
中国が輸出規制を発表した直後、トランプ大統領は、今月末に、韓国・慶州(キョンジュ)で開かれるAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議で予定されていた習主席との会談を欠席する可能性を示唆していました。
これに対し、中国商務省は12日、「われわれは関税戦争を望まないが、恐れもしない。アメリカが行動を取るなら断固たる対抗措置を講じる」と警告しました。
その後、両国とも「正面衝突は避けたい」との意向をにじませつつも、微妙な駆け引きが続いていて、11月のAPEC首脳会議で米中の首脳会談が実現するかどうか、今後の動向が注目されています。