カンボジアで、韓国人が拉致される事件が相次いでいることを受けて、韓国の大統領室は13日、「カンボジア韓国人犯罪対応タスクフォース」を設置し、初めての会合を開きました。
大統領室は、現地の犯罪組織に拘束されていた被害者だけでなく、犯罪に関わった疑いでカンボジア当局に身柄を拘束されている韓国人容疑者についても、韓国に移送して調査する方針を明らかにしました。
初会合には、外交部や法務部、警察庁の関係者が出席しました。この中で、魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安保室長は、「法を犯した行為があったとしても、人道的な観点から送還を最優先とし、必要であれば段階的な送還も検討するように」と指示しました。
「段階的送還」とは、一度に全員を移送することが難しい場合、移送可能な人から順に帰国させる方式を指します。政府は、犯罪組織に拘束されていた被害者だけでなく、現地で犯罪に関与した疑いのある韓国人も早期に移送し、韓国の国内法で捜査する方針です。
また、会議では被害の拡大を防ぐため、韓国の捜査当局の関係者を現地に派遣し、カンボジア当局との捜査協力や韓国人の救出状況を確認することも検討されました。
カンボジアでは、就労などを目的に渡航した韓国人が犯罪組織に拉致され、行方がわからなくなるケースが相次いでいます。国会の外交統一委員会によりますと、こうした被害者は、去年221人、ことし8月末までに320人に上り、累計で少なくとも500人を超えるとみられています。
また、カンボジアの刑務所には、サイバー犯罪組織に関係しているとみられる韓国人68人が収監されているということです。大統領室は、こうした事件の実態把握を進めるとともに、犯罪の再発防止と韓国人の保護に向けた対応を強化する方針です。