韓国の趙顕(チョ・ヒョン)外交部長官は、アメリカとの間で進められている関税協議をめぐり、アメリカがこれまで求めていた「3500億ドルを全額現金で投資する」という立場から一歩後退したと明らかにしました。
韓米両国は7月末の関税交渉で、アメリカが韓国に課す相互関税を25%から15%に引き下げ、韓国が総額3500億ドルに上る対米投資を行うことで合意しています。しかし、アメリカがこの投資を自国の投資ファンドに一括して現金投入するよう求めたため、韓国側は外国為替市場への影響を懸念し、無制限の通貨スワップや投資比率の調整などを提案して調整を続けてきました。
趙長官は13日、国会外交統一委員会での国政監査で、「3500億ドルをすべて現金で投資すれば、為替市場が大きく揺らぎ、対応が難しいという点をアメリカ側に十分説明した」と述べました。そのうえで、「アメリカ側から新たな代案が提示され、現在、韓国政府が内容を検討している」と明らかにしました。趙長官は「アメリカが全額現金投資の要求を取り下げたのか」との質問には、「そのとおりだ」と答え、「接点が少しずつ生まれている」とも述べました。
アメリカが示した新たな代案の詳細は明らかにされていませんが、通貨スワップの導入や投資時期の分散を受け入れる可能性があるとの見方も出ています。韓国政府は9月に修正版の投資案をアメリカ側に提出しており、一定の前向きな反応があったとされています。
政府は今月29日に予定されているAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議にあわせて行われる韓米首脳会談までに、関税協議の妥結を目指しています。ただ、アメリカが依然として一定の現金投資を求めており、韓国も慎重な姿勢を崩していないことから、最終的な合意に至るかどうかは不透明です。