カンボジアで韓国人を狙った就職詐欺や拉致・監禁事件が相次ぐなか、カンボジア当局に身柄を拘束されている韓国人およそ80人が帰国を拒んでいることが分かりました。
カンボジア内務省の報道官は15日、カンボジア当局に身柄を拘束されている韓国人について、「韓国当局が接触したものの、彼らは韓国に戻ることを望まなかった」と明らかにしました。
韓国外交部によりますと、去年からことし8月までにカンボジアに入国したあと、連絡が取れなくなった韓国人はおよそ80人で、その多くが特殊詐欺グループによる犯罪に関わった疑いが持たれています。
カンボジアに拠点を置く詐欺グループは、偽の求人広告や高収入のアルバイト募集で被害者をカンボジアなど東南アジアの国々へ誘い出し、パスポートを取り上げたうえで、特殊詐欺への加担を強制していたものとみられています。
現地では、被害者が事実上の監禁や強制労働の状態に置かれるケースも少なくありません。
ことし8月には韓国人大学生がカンボジアで犯罪組織の拷問を受け死亡する事件が起き、韓国社会に衝撃を与えました。
これを受けて韓国政府は、金珍我(キム・ジナ)外交部第2次官を団長とする「政府合同対応チーム」をカンボジアの首都プノンペンに派遣しました。
警察庁、法務部、国家情報院の関係者も同行し、▲行方不明者・監禁被害者の調査、▲捜査協力および遺体送還手続き、▲被害申告の簡素化、▲拘束中の韓国人の送還計画などについて協議する方針です。
政府は、特別機を投入して、身柄を拘束された韓国人の早期帰国を支援し、帰国後に犯罪への関与が確認された場合は国内法に基づき処罰する方針です。